福岡県 北九州市
小倉都心・門司港レトロ地区集客活性化事業

 北九州市における地域再生計画の策定は、地域再生法の制定以前からの庁内外の良好な協働関係によりスムーズに行われており、成果指標については観光客数の増加という形で掲げられていた。計画実施にあたっては、イベントを通じて、民間事業者や計画策定以前から係わりの深い住民団体等、地域との一層の連携強化が図られていたり、豊かな文芸土壌という地域資源を活かした発展性のある取り組みが検討されている状況が窺えた。制度に関する要望としては、問題となっている民間事業者等の河川・道路占用許可の弾力化や道路使用許可の円滑化への対応が叫ばれていた。

1. 地域再生計画の概要

(1) 小倉都心・門司港レトロ地区集客活性化事業の認定日
平成16年6月21日

(2) 主な事業内容
 「民間の自由な発想がまちの魅力向上に直結する地域づくり」をテーマに、北九州市の中心商業地である小倉駅周辺及び中心観光地である門司港レトロ地区において、民間活力の積極的な導入、既存の公共施設の有効活用、集客環境の集中的な整備促進などを効率的に実施する。

(3) 主な支援措置内容

公共施設を転用する事業へのリニューアル債の措置
  公共施設の転用に係る地域活性化事業債の対象化

民活補助金で取得した特定施設の転用
  補助金適正化法の転用申請については柔軟な対応を行う

まちづくり交付金の創設
  市町村の自主性・裁量性を生かした交付金の創設

(4) 進捗状況等

◆リニューアル債
○ 輸入促進施設AIM(アジア太平洋インポートマート)3階を中展示場・会議室へ転用する際に、その整備費について起債が認められている。
    ⇒中展示場・会議室については平成17年2月開設済

○ 北九州市立中央図書館に併設されていた旧歴史博物館を(仮称)北九州市文学館へ転用する際に起債が認められている。
    ⇒(仮称)北九州市文学館については平成18年秋開設予定

◆民活補助金
○ 民活補助金を充当しているAIM(アジア太平洋インポートマート)3階について、中展示場・会議室への転用、(仮称)子育て支援プラザへ転用する目的外使用が認められている。
    ⇒(仮称)子育て支援プラザは"子育てふれあい交流プラザ"として平成17年12月に開設済

◆まちづくり交付金
○ まちづくり交付金の採択を受け、小倉駅周辺や紫川河畔の高質化(照明、植栽など)や、都心の賑わい創出に資する四季折々のイベントなど順次実施している。

 

2. ヒアリング結果整理

(1) 計画策定のプロセスなど

@ 地域再生計画策定のための庁内外の組織構成、協働作業の枠組み作りについて
 地域再生計画の策定に向けては、庁内関係部局のメンバーで構成されるプロジェクトチームの形成が図られていた。また、地域再生法の制定以前から関連事業について地元住民との意見交換が活発に行われていたため、既に協働作業の枠組み作りはできており、策定作業はスムーズに進行していた。

A 地域再生計画の成果指標について
 計画の成果指標としては、観光客数の増加を掲げていた。平成14年次の観光客数(小倉都心地区:89万人、門司港レトロ地区:211万人)を年々増加させ、目標年次である平成20年には、小倉都心地区で150万人、門司港レトロ地区で400万人を見込んでおり、その指標の達成に向けた取り組みが進められていた。成果指標の設定根拠は、観光客数が落ち込む前の状態まで増加させるというものであった。

(2) 計画の実施と効果、資源の有効活用

@ 地域再生計画の効果(民間、NPO、住民等との連携強化)について
 計画の効果(民間、NPO、住民等との連携強化)については、民間企業や社会団体、住民団体(紫川マイタウンの会など)と連携して、紫川の川面や河畔で "マイリバーサマーフェスティバル2004"(遊覧船、オープンカフェ、自転車タクシー等)というイベントを開催するなど、地域との連携強化が図られていた。

A 地域特有の資源の有効活用について
 地域特有の資源の有効活用という点では、芥川賞や直木賞などの文学賞受賞者やゆかりの作家を多数排出しており、そういった著名人の旧居や記念館などが保存整備されているという文芸土壌を活かすため、新設予定の(仮称)北九州市文学館において、中央図書館や開館以来人気を博している松本清張記念館と連携した共同企画展の開催や、郷土にゆかりのある近代文芸に関する資料の収集、整理、研究、公開などを検討していることが窺えた。


■新勝山橋/写真左の植栽から左側が歩道、右側が都市公園の勝山公園用地


■紫川河畔