2. ヒアリング結果整理
(1) 計画策定のプロセスなど
@ 音楽と芸能の土壌がある沖縄市においては、以前より音楽イベント等を通してのまちづくりが進められており、その中でも「チーム未来」という、市の職員や地元ミュージシャンで構成(このグループ構成のおかげで、ミュージシャンからの意見が市の耳に届きやすくなった。)されたグループにより、市街地の活性化と観光客の誘致に向けて『中の町ミュージックタウン構想』が推し進められていた。
そのような中、市という自治体が"音楽"という文化を相手にまちづくりに挑む、中の町市街地開発事業におけるミュージックタウン整備事業の核施設として、多目的スペース・練習スタジオ・音楽広場等から構成する音楽市場(仮称)が建設されることになっている。このように"芸能・音楽"の環境は整備されつつあるが、東京であれば当然いるようなプロデューサーのように、全体をコーディネートできる人やスタッフが不足しており、人材の育成が急務となっている。そこにパッケージ事業を活用し、事業を推進していこうという計画である。
A 沖縄市には、失業の問題もあり、失業率の全国平均が4.4%であるのに対し、沖縄県は9.4%、その中でも沖縄市は11.7%と飛び抜けて高く、更に30歳未満の若年層に至っては19%という深刻な状態である。地域再生法を活用して、ミュージックタウン構想を推進していくことは、地元がもっているものをいかにして産業化し、活性化につなげていくのかという点において、市独自の雇用政策を推進していくことになる。
B この事業の目標値は、市内にある中心市街地の空き店舗に誘致したテレワークセンター、東部の開発としてワークプラザ、携帯対応のモバイルワークプラザという3ヶ所のIT関連施設と、中の町ミュージックタウンとを産業化することをベースにしており、企業の誘致を図り、雇用を創出し、市の中心産業として育成していくことにある。
その成果としては、IT関連施設を利用し、東京にはない音楽産業のインフラ作りを行い、ミュージシャンを支えていく仕組みを作成、全て東京へ引っ張られないように彼らの活動拠点を沖縄市へ置いてもらうことを目指す、という市の体制作りにある。そのことにより、ミュージシャンからの地元への納税も期待でき、経済面や地域活性化においても大きな効果が見込まれることと期待している。
(2) 計画の実施と効果
@ 本事業の目標として、1年目に事業利用企業数80件(3年目には200件)、事業利用企業雇用者数50人(同100人)、事業利用求職者数200人(同400人)、事業利用雇用者数50人(同200人)を掲げているが、事業自体、まだ始まったばかりであり、成果については今後に期待することとしたい。
A 沖縄市は、この事業について、沖縄市の文化と音楽を産業化する上で、最後の手段だと考えている。基地文化から、芸術の文化へ脱皮するということで、自立に向けての第一歩とし、少年野球やサッカーのように、沖縄市においては、老人から子供まで音楽に親しむ土壌を育てていきたい意向がある。
B 現在、音楽を勉強する環境が地元にはないので、講習会やITを用いて、アーティストが上京しなくとも、ここ沖縄市からの売り込みが可能となる道筋をつけ、アーティストを支える人材を育成していきたいと考えている。これにより、ファッションやグルメなどのサイドビジネスの発生等、波及効果も見込める。
C 文化産業の発達と共に地元が盛り上がってくると、結局、それが観光客の誘致にもつながっていき、"沖縄市"の統一した街のイメージをつくっていくこととなる。
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