2. 地域再生計画実施について
(1) 進捗度(評価)
豊川市地域再生計画では、計画の実施が地域に及ぼす経済・社会的効果として、観光の推進に伴う交流人口の増加、定住施策の推進による地域経済の活性化を挙げている。具体的な数値指標としては、観光入り込み客数の増加、定住人口の増加による経済効果を目標としている。
交流人口の把握方法としては、代表的な駐車場の駐車台数や駅の乗降客数を代理指標として算定している。「いなり楽市」を月1回開催するようになってから、毎回約20,000人の観光客が訪れるので、観光客数はかなり増加していると言える。TVや新聞・雑誌等メディアでも取り上げられ、波及効果で平日の観光客数も少しずつ増えてきている。
市域全域の定住人口はもともと増加傾向にある。大規模住区整備をしている地域が2箇所あるが、まちづくり交付金を活用することで事業が加速され、定住者が増えた。
地域再生計画の評価の際には公表は必ずするが、その際の具体的な意見聴取の方法として、市民アンケートを行うか、第三者機関による評価を行うかは未定である。
<主な評価指標と目標及び達成度>
観光入込客数:平成21年度までに291,002人の増加→平成16年度末の進捗率16%
定住人口: 平成22年までに3,925人の増加→平成17年3月現在の進捗率23%
汚水処理人口普及率: 平成21年度までに1.2%向上→平成17年度より事業中
(2) 効果(メリット・デメリット)

まちづくり活動を始める前の町並み(左) 「いなり楽市」開催時の商店街の様子(右)
「いなり楽市」では、地域再生計画による支援措置も効果的に作用し、現在では約20,000人/回の集客のある事業となり、地域経済を活性化させている。地元住民の中で実行委員会に共感する人が増え、住民全体が豊川地区のまちづくりリーダとして育ちつつある。また、様々なメディアで注目されるようになったことで、市民の認識も高まり、市民が豊川稲荷に行くようになった。イベントへの参加意識も回を追うごとに増しており、今や市民総出と言っても過言ではない。
また、今回の取り組みで中心的な存在となっている商店主などは、各地の講演で講師として招聘されるようになった。本人たちにも大きな自信となっており、意欲も劇的に上がっている。これは当初予想していなかった展開だという。
さらに、市役所内でも、横断的な組織や考えが持てるようになった。以前はやはり縦割りで、これまではそういった考えは持ちにくかった。活動を通じ、庁内横断的にいろいろなことを考えられる体制となっている。職員全体の意識改革にもつながる動きである。
(3) 地域特有の資源の活用
豊川稲荷及び駅前商店街に残る「時代に取り残された」イメージを逆手に取り、「古さ」「懐かしさ」を強調した展示などを行っている。各店舗の軒先や倉庫に眠っていた看板や道具などは、高齢者世代には懐かしく、若者世代には新鮮に受け止められている。
地元には大学等研究機関は立地していないが、今後の取り組みとして、豊橋技術科学大学との共同研究による商店街整備を行いたいと考えている。これも地域再生のスキームを活用したいと考えている。
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