2.
地域再生計画実施について
(1) 進捗度(評価)
同構想では、産学官での学術・研究機関の整備を推進しており、これまで具体化したものには、北海道大学水産学部マリン・フロンティア研究棟(平成16年5月供用開始)、公立はこだて未来大学共同研究センター(平成16年4月設置)、函館高等工業専門学校地域共同テクノセンター(平成16年4月整備)、アルガテックKyowa海藻技術研究所(平成15年6月開所)がある。
今後の取り組みとしては、函館臨海研究所(平成17〜18年度整備)、北海道大学マリンサイエンス創成研究棟(平成17年度整備)、函館市産学官交流プラザ(平成17年度整備)がある。また、「国際水産・海洋総合研究センターの整備」は、構想の中核研究施設として計画されているものであり、平成17年度ではセンター全体像や施設計画策定のための整備調査を実施しているなど、地域の研究機能の強化・充実が図られている。
産学官の連携による、研究・技術開発の推進については、「マリン・フロンティア科学技術研究特区(平成15年8月)の認定を受けるとともに、都市エリア産学官連携促進事業(文部科学省、平成15年6月選定)、21世紀COEプログラム(文部科学省、平成16年7月認定)、地域新生コンソーシアム研究開発事業(経済産業省、平成16年8月認定)などにより、地域の学術・研究機関と企業との共同研究が順調に進展している。
(2) 効果(メリット・デメリット)
「函館国際水産・海洋都市構想」の策定により、地域をあげてこれまでの蓄積とポテンシャルを活用しながら、新産業および新たな文化の創出に向けた取り組みが進んでいるところであるが、地域再生計画に認定されたことにより、地域内の産学官の連携に加え、関係各省庁に於いて当地域の特性について認識が深まることとなっている。
こうした中で、多方面での理解と事業参画の可能性について検討することが重要である「国際水産・海洋総合研究センターの整備」のための「特定地域プロジェクトチーム」の設置が支援措置として適用されたことは、具体化に向けた力強い追い風と期待される。
また、函館国際水産・海洋都市構想推進協議会では、国際水産・海洋総合研究センターをはじめ学術・研究機関の集積を図る取り組みのほか、地域と学術・研究機関との連携、および観光と学術研究の融合、水産・海洋都市民生活の調和に関する事項も部会を構成して検討・推進を図っている。その中で、「海」をテーマとした市民参加型の「オーシャンウイーク」の開催などは、市民ひとりひとりが海を知り、海と親しみ、海との生活の関わりを考え、構想への関心を高める機会となっている。
(3) 地域特有の資源の活用
より具体化に向けた進展が期待される「国際水産・海洋総合研究センター」の整備予定地は、旧函館ドック跡地の一部の約10ヘクタールの長方形(500×200m)の用地で、3方を海面に面しており、海水の利用や船舶の直接の接岸が可能であり、海水を利用する試験研究が容易であるほか、国内ばかりでなく海外の海洋調査船や練習船の寄港を可能とし新たな研究交流の可能性が高まることとなる。
函館市は実現に向けた検討に資するため、平成17年度予算に調査費を計上し、平成16年5月に公表した「国際水産・海洋総合研究センターの整備に向けた提案書」の内容について、機能の詳細や段階的な整備などに検討を進めている。また、平成16年5月には、同センター予定地約10ヘクタールを含む、旧函館ドック跡地(23ヘクタール)を函館市土地開発公社が購入しており、整備の基礎条件を確保している。
なお、当用地のうち函館港内に面した部分については、調査練習船の接岸のための公共岸壁として整備するよう国へ働きかけも行われている。
 
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