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具体的問題、観点
         ○地方分権、道州制移行へのポイント、見解
         ○限界集落(人口減少、過疎化等)について


■総合研究開発機構 江崎
   ポイントは「一体何故、道州制をやるのか」、その必要性をどのように説明していけばいいのか、それが説得力あるものなのかどうかという点である。
 今まで、あまり触れられなかったが、今、足元で人口が減るにあたって、中山間地の問題、過疎地の問題が大変深刻な問題になっている。道州制を進めることによって更に酷くなるのか、それとも、解決の方向に向かうのか等々いろんな動きがあろうかと思うが如何か。

■(社)九州経済連合会 田嶋
湯布院町の例にもあるように、景観を保護しようとしても、全国一律の建築基準法を優先するため、住民ニーズに応えようにも限界がある。空港を作ってその地域を活性化しようとしても、結局、空港は羽田空港と結ぶだけであり、それを通して人口が東京に流れている。また、バス停を少し移動させるだけでも、中央の認可がいるのが現状である。
中央に権限と財源が過度に集中している現行制度のままでは、地域おこしに限界がある。もっと柔軟かつ強力な財源と権限を地域に持たせ、自由裁量で地域自身に活性化を委ねるべきである。
九州の場合、一級河川が他のブロックと跨ることはなく、海で完全に遮断されている。一つの方法として、川の流域(上流:過疎地・山間地、中流:農業地、下流:都市部)に着目した市町村合併を提案したい。中山間地〜都市部を包含した大きな市が誕生し、過疎地の問題、農業、漁業の問題、都市部の問題の包括的なコーディネートが可能になる。

■(社)中国地方総合研究センター 和田
  中国地方での地域の自立を考える観点として、域際収支(*)という考え方での地域分析を進めている。この考え方でいくと、小さな圏域自体で赤字補填は難しいが、広い区域でまとまり、大きな括りにしていくと、収支バランス保持の見通しが立つ。
  中山間地が抱えている県境が存在することで生じている問題(ex.テレビのデジタル放送への移行問題)を、道州制導入による県境廃止・地域拡大で改善し、更なる生活不利化を食い止める必要がある。
*地域の生産額から支出額を引いたもの

■(社)関西経済連合会 栗山
地方の自立にとって分権改革は必要条件だが、十分条件ではない。分権改革、道州制が地方の自立を保証してくれるわけではない。地方の自立に向けた様々な努力が報われるよう環境を整えるのが、分権改革であり、道州制導入である。
自立と自己責任は表裏一体である。道州制を含めて地方分権型の制度になった暁には、地域が自立できるか否かは、自己責任であり、仮に格差が拡がったとしても、国に文句を言うことはできない。
ただし、中央集権のもとでついた現在の地域格差は何らかの方法で調整し、分権制度移行時の初期条件を平等にしておく必要はある。


■(社)地域問題研究所 杉戸
「新しい広域行政体」が必要であり、「道州制」はその一つの選択である。地方分権の権限委譲に伴い、県の存在意義も変化する。新しい広域行政体というのは、県よりも広い範囲であり、権限を持ち、各市町村の役割分担も従来とは違う行政体である。
国際観光を取り上げてみても、縦割の行政構造、財源、人材、ノウハウの面で限界があり、もはや単体の県だけは立ち行かないという現状がある。広域的なエリアを一つの県域と捉えて、戦略的に施策を展開する権限を持つ行政体があれば、国際観光は非常に効果的にできるのではないか。ただ、道州制でないとできないかというと、必ずしもそうではない。やりやすくなるというレベルであり、道州制の必要性という面では、これだけでは弱いといったところである。

■(財)北陸経済研究所 酒井
まず道州制ありき、ということではなくて、県境を取っ払ったら、どういう展開が考えられるかという議論が必要である。
富山と石川が競いあった結果、小松空港と富山空港の両方に上海便が就航することになった。ただ、曜日も週三回、飛ぶ時間も一緒で、各県がばらばらに取り組むと、各県の面子は立つが、ユーザーからみると使い勝手が悪いものができるということが現実にある。
道州制議論の一番の欠点は、住民議論になっていないということである。例えば、県境をなくし、各県の公的施設に従事する工業技術者、農業研究者の力をもっと広域的に集結すれば、具体的にこういったことができるという、目に見える成果を住民に示して、一緒に議論をしていくことが必要である。(デメリットも含め)
道州制移行の場合、税金が確保できるのは、三大都市圏と、北関東ぐらいであり、他の地域は税金不足である。財務設計を明らかにすることが道州制議論の大前提である。
インフラ整備をすると、県境に関わりなく買い物に出かけるなど、交流が盛んになる。(ex.岐阜県・神岡町)中山間地とそれを支える都市との上手い共存の仕方を考えていく必要がある。

■(財)青森地域社会研究所 竹内
地方の基礎自治体が権限、財源面で力を持ってきた。市町村をサポートする県の機能、マンパワーの向かう先として、県域を越えた広域産業、販路の拡大、海外をターゲットとした経済的なパイプ作りなど、様々なところで、動いているわけだが、県行政の能力をもっと広域的に活用できるよう、道州という枠組みに組み込んでいこうということである。 
交通網が整備され、情報ツールにより、時間圏がどんどん狭められている中で、何故、徒歩が主たる移動手段だった130年前に定められた領域に縛られるのか。地方で生活していると、県域というのは、経済活動、文化活動、情報面、地域を規定するなど、かなり影響がある。様々な社会インフラの発展、変容を捉えた次の発展ステージをここに示していかなければならない。そのきっかけが、地方分権である。
青森、秋田、岩手という北東北ミニ道州という考え方もある。対して、仙台を中心とする南東北があり、東北という同じエリアであっても、南北問題というのがある。どちらが、飲むか飲み込まれるのかということもあって、様々な利権が絡んでくる。
道州制度の場合、今まで、県が担当していたところは力を持った市町村、例えば中核的都市がカバーする。
青森の場合、クルマで1時間もあれば、いろいろなところに行くことができる。居住機能は都市部に求めて、働く場を山間部・農村部に求める、という生活スタイルも考えられる。

■総合研究開発機構 江崎
 各パネラーのご意見を集約すると、このままではどうも上手くいかない。何らかの意味で、地域の受け皿を大きくしていかないと上手くいかない。だからといって、道州制の州の大きさでないといけないのだという説得力もない。ある程度の大きさの受け皿を作り、国からいろんな権限を下ろせたとしても、きちんとマネージメントできるのかということであろう。
 財政面ではある程度、大きな地域ユニットにすれば、税源委譲をやったとしても、それほど大きなマイナスではなく、収支とんとんでいけるのでは、という和田さんの示された試算も興味深い。

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