地方シンクタンク協議会
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今後のシナリオビジョン


■総合研究開発機構 江崎
   いろいろな論点を出してもらったが、これから、具体的にどうすればいいのか。戦略的なやり方、積み上げていくやり方、区割りを片付けないと進まない。いろいろな話があるが、それぞれの地域を踏まえて、これからどういうシナリオを描いていくのか。ないしは、こういうビジョンがあるというものがあれば、ご発言願いたい。

■(財)青森社会地域研究所 竹内
「二層の広域圏」という、国土交通省の新しい国の形というレポートがあったが、それを読んでサゼッションを受けた。地場を固めてアクセスを整備して、地域が生産性の高い経済社会構造を構築していく必要があるのではないだろうか。
サプライチェーンマネージメントで成長著しい中国、東アジアと結ばれることで、ある試算によると東アジアへの海上コンテナが2005年から2030年の間に4.4倍になっている。この成長エネルギーを利用しない手はない。地場を固めるための道路網の改善が必要である。
合併し、道州制を確立するためには、お互いを知ることが不可欠である。能代市の白神山地は、青森県と秋田県に跨っており、一体どちらの県のものなのかという話もある。県の区割りが弊害になっているだけで一つの地域の資産をめぐって争わなければいけないのか。「東北を知ろう」運動をもっとやっていった方がよい。

■(財)北陸経済研究所 酒井
  国土形成計画の広域地方計画が検討段階に入ったところであり、当面は北陸三県が一つの塊として、発展していく計画である。そのベースとして、個別具体的に住民の目線で分かりやすいものを提供しながら、発展方策を探っていくというのが現段階である。
道州制に転向した場合には、県の境界にこだわるのはいかがなものであろう。民間からもっと強く声が上がってもいい。あるいはその役割こそがシンクタンクであるのかもしれない。
道州制になっても、国と地方との役割を明確にしていく必要がある。特に、社会資本の格差論の話が出たが、骨格となる社会資本は国が責任をもって、国として必要なものを作るべきである。交通基盤のように目に見える分野だけでなくて、国土保全の視点が災害の多い国では重要である。
北陸は東京、名古屋、大阪、三大都市圏とどう相互補完できるのか。リダンダンシーがあるが、相互補完ができる展開を考えていく。産業、文化、観光、様々な面で考えてみてはどうだろうか。
  国全体が競争力を失うような、減少させるような道州制論議ではあってはならない。

■(社)地域問題研究所 杉戸
新しい広域行政体のイメージをどう描くのかというときに、従来のように県の組織を大きくして、人材・財源を確保というだけでは、道州制の効果が充分発揮できない。例えば、福祉施策と産業振興施策を同じ組織でやっていいものか。もっと施策の性格に応じて、柔軟に施策を実行する仕組みを作るべきである。。
国際観光を考えた場合、地域の振興という公共的な側面があり、税金で一定の資金を投入しながら、直接的に効果を受ける観光事業者から、観光税のようなものを徴収する仕組みを作るのはどうだろうか。また、戦略的なPRを進めていく上で、当然、全ての地域を公平に扱ってPRすることはできない。そうすると、恩恵を受ける地域とそうでない地域が出てくる。恩恵を受ける地域から収入を得る仕組みを作ってはどうか。
そのためには、施策の実行部隊としてNPOや民間事業者と公共部分を一体化したような新しい組織の構築が必要。従来のような行政が丸抱えの外郭団体ではなく、部門ごとの施策の性格に応じて最適な性格の実施組織をつくるイメージである。このように効率的で効果的な施策が展開できる新しい行政組織をイメージしていくことが重要である。


■(社)関西経済連合会 栗山
関西のシナリオは、行動を起こして分権の受け皿になる「関西広域連合」を用意し、その先に、関西州なり道州制というものを展望するというもの。「広域連合」というのは、地方自治法上の制度であり、特別地方公共団体である。大臣等の権限に属する事務の移管を要請ができるという規定があり、かつその事務を直接、広域連合が受けとめられるというのが最大の特色である。
「北海道道州制特区法」が、今年から施行されており、北海道からの提案を政府として受け止めて、回答するという仕組みができている。北海道以外には三つ以上の都府県が合併すれば、同じスキームが提供されることになっているが、府県合併はかなりハードルが高い。この法律を改正してもらって、合併をしなくても、三府県以上が広域連合を作ったときにも、同じように提案権を与えるようにする、という要求をしていきたい。
区割り、州都の話だが、関西二府四県プラス福井、三重、徳島が入って議論をしているが、関西広域連合の範囲がどうなるかは予想しにくい。関西というのは、大阪の周辺に県都が集まってしまっている。州都は京阪神大都市圏の何処かになるだろうが、問題はむしろ、北近畿、紀伊半島が取り残される関西州であってはならないということである。

■(社)中国地方総合研究センター 和田
最大の問題はどの地域割りで道州としていくのか、ということである。中国州、中四国州、二つの案が出てはいるが、地方の一体感が非常に低いことが、議論が進んでいかない要因になっている。 
近畿、九州に挟まれた地域で、両極の地域があって、それぞれの大都市圏に帰属しているという住民の意識もある。中国州なり、中四国州なり、本当にこういう枠組みになっていいのか、という疑問が出てくる状況である。まず、そういった意識を払拭し、中国州なり、中四国州なり、帰属意識を高めていくことが重要になってくる。
また、広域連携を積み重ねていって、大きな枠組みで様々な事業に取組んでいくことにメリットがあるということを住民や関係主体に明確に伝えることが、一番、道州制を実現していく近道になってくるのではないかと考える。

■(社)九州経済連合会 田嶋
まず各ブロックでビジョンを作ることが必要である。将来その地域がどういう姿になるのか、どの方向に向かうのか、明確にビジョンで示すということが大切である。北海道から九州、沖縄まで各ブロックで具体的にビジョンをブレイクダウンし、政策レベルまで具体化したものを作ってはどうかと考える。九州では7つのビジョンを掲げているが、一番大きなものは、東アジアの拠点として繁栄する九州を築くことである。 
ビジョンを実現、達成するために、3つの内容を骨子とする制度設計をきちんと各ブロックが行うべきであろう。
@道州制、地方分権、特区のいずれを選択するべきか
A国と地方の役割分担の明確化とそれに適した税財政制度
B基礎自治体の行政能力の強化方策
次にプロセス論。具体的にできるところから、政策連合で進めていく。権限委譲を個別に行い、企業誘致・観光振興を地域一体で行うなど、プロセス論では実践が必要である。そういうことを重ねることによって、広域行政の良さを住民や企業経営者に体感してもらうということが、道州制のメリットをPRする上で大切なことである。
地方シンクタンク協議会で一度、自主研究として考えてみてはどうか。一斉に皆で考え、議論しあう。それが上手くまとまれば、国や全国の住民に問うということができるのではないかと考える。

■総合研究開発機構 江崎
 国際的にアジアの成長力を活用していくためには、もっと地方の様々な多面性を活かしていくことが必要である。州体制に移行した後もインフラ、年金などは国と新しい地方自治体の間でどのようにするのか。広域連合、政策連合など進めながら議論を深めていく。
 東北の中にも南北問題があり、東北三県はまとまりやすく、合わせるとGDPは大きいという話もあったが、日本は経済規模が大きい。そうしたものをこれから活かしていくことが必要である。国はお金もなく、人員も削減される。これまでのようにはいかないという現実がある。
 最後に田嶋さんより、各シンクタンク、各地域で、議論の起爆剤になってはどうかとの研究発表会にふさわしいご提案をいただいた。ありがとうございました。
(所属・役職はH19.10.26現在)

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