![]() |
調査機関:社団法人北海道未来総合研究所 |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
札幌市コールセンター「ちょっとおしえてコール」は、日本初の市政総合案内コールセンターである。実績のある民間企業へのアウトソーシングによって、わずか1年でシステム稼働に至り、また約6割のコスト削減効果が見込まれる。問い合せた市民は、民間企業が蓄積する迅速かつ丁寧な電話対応などを高く評価しており、縦割り行政の象徴であった「たらい回し」を克服している。また、本事例のコールセンターは、市民からの問い合わせ対応のみならずNPMを展開する基本ツールの役割を担う可能性も生じており、進展の鈍い案内・受付及び電話交換業務におけるアウトソーシングの先進的事例と位置づけられる。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
1. アウトソーシングに至った経緯1−1.アウトソーシングに至った背景 札幌市コールセンター「ちょっとおしえてコール」(以下、「コールセンター」と称す)は、ITを活用した本格的な自治体CRMを目指した札幌市IT経営戦略のもと、アウトソーシングによって実現された日本初の市政総合案内コールセンターである。
1−2.コールセンターの概要コールセンターの概要をまとめたものが、事例表 1- 1である。アウトソーシング先の民間コールセンター企業のオペレータ5名が、市民から札幌市の制度、手続き、イベントや生活情報等の問い合わせを電話・ファックス・電子メールで受けて回答するシステムである。回答にあたっては、回答用データベース(平成16年10月現在約1,500件の「FAQ(Frequently Asked Questions、よくある質問と回答)」が登録済)が構築され、質問内容に応じた回答を参照している。回答用データベースは、これまで札幌市の行政運営の中心を担い、退職を間近に迎えた団塊世代の職員に有するノウハウを蓄積・継承するなど市職員間のナレッジマネジメントを図ることにも活用されている。
1−3.アウトソーシングコストアウトソーシング初年度の特徴は、システム導入コスト総額の45.1%をコンサルティング委託費にかけて戦略を構築する一方で、システム開発委託費は2千万円以下に抑えている点である。次年度からは、Webページ作成やIP内線電話網を敷設することで市役所内に設置されていないコールセンターからスムーズに札幌市各部局内線電話に接続を可能にするといった、市民サービスの拡充のために新たなコストが発生している(事例表 1- 2)。
2. 効果検証2−1.アウトソーシングによるコスト削減効果1件(対応時間10分間)あたりのコストを市職員対応とコールセンター対応とで比較すると、市職員では919.6円を要するが、コールセンターではアウトソーシング先の民間コールセンター企業が有する電話対応スタッフ、電話回線、交換機、ブース設備等を用いるため331円に削減できる(事例図 1- 1)。このように、アウトソーシングによるコスト削減効果は約64%と非常に大きいものである。
2−2.コールセンターの活用状況次に、コールセンターの活用状況を1日あたり平均入電件数(月別)でみると、着実に増加している(事例図 1- 2)。これまでの傾向から、年間事業費と採算が合うのに必要な1日あたり平均入電件数には平成18年6月に達すると試算され、事業開始からわずか約3年という短期間で採算可能な活用水準となる見込みである。
この着実なコールセンターの利用定着の要因には、アウトソーシング実施過程において、無作為抽出による市民1万人を対象にアンケート調査を実施し、市政情報を得るための媒体として回答者の約7割が電話を望んでいるといった市民ニーズを正確に把握していたことがあげられる。実際に、コールセンターへの問い合わせは、電話・ファックス・電子メールで可能であるが、問い合わせの96.5%が電話である。 2−3.サービス対象及び内容の拡充 また、「札幌市コールセンター事務取扱要綱」(平成14年)において、サービス対象を「市民,企業,その他の団体及び観光客」とし、当初から想定していた観光客へのサービスを段階的に充実させている。具体的には、平成15年度に英語による問い合わせ対応専用席を増設して、国際イベントなどにあわせて来道する外国人や札幌市在住外国人に英語での情報提供を可能にし、国際ホスピタリティを向上させている。 |
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
トップページへ ← | → 次のページへ | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
ページ 1 | 2 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
![]() ![]() ![]() ![]() |
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
★★ 本ページは内閣府からの委託により、財団法人関西情報・産業活性化センターが運営しています。
|