群馬県 太田市、尾島町、新田町、薮塚本町
合併協議会(太田市)

基本情報
市町村名 合併年月 合併形態
太田市、尾島町、新田町、藪塚本町合併協議会(太田市) 平成17年3月28日 新設合併
調査対象項目
一般ごみ 保育料
合併後市町村特徴
 群馬県東部の中心的な都市であり、東京都心からは約80km圏の関東平野北西部に位置する。金山や八王子山系を除くと平坦な地形の都市である。南部には利根川、北部には渡良瀬川が流れ、北と南はそれぞれ栃木県、埼玉県に接している。年間平均気温が14℃前後で、四季を通じて晴天が多く比較的温暖な気候である。冬季は空っ風(からっかぜ)と呼ばれる乾燥した北西の季節風が吹く。
 核家族化と少子高齢化が進行しており、平成12年では1世帯当たり人員が2.87人、老年人口比率が14.90%となっている。戦前の中島飛行機の伝統を引き継ぎ、富士重工が立地するなど北関東有数の工業都市であるとともに米作、畑作、花卉、酪農など農業も盛んであるが、商業・サービスの機能の拡大とともに、第一次産業、第二次産業とも就業者人口の構成比は減少している。
 この地域は古代から栄え、市内にある天神山古墳は東日本最大の前方後円墳であり、新田氏、徳川氏にゆかりの寺社、史跡も多くあるなど歴史の古い地域でもある。藪塚本町は県内有数の温泉地でもあり、観光都市としての性格も有する。
市町村面積・人口等
市町村名 面積:
km2
人口:人  一般会計:
百万円
特別会計:
百万円
職員数:
合併直後
(H17.3.28)
太田市
【オオタシ】
176.49 207,349 70,110 50,945 1,598
合併直前
(H164.1)
(1) 太田市
【オオタシ】
97.96 144,132 49,477 34,241 1,096
(2) 尾島町
【オジママチ】
19.34 14,356 4,874 4,113 115
(3) 新田町
【ニッタマチ】
38.22 29,906 9,462 7,827 214
(4) 薮塚本町
【ヤブヅカホンマチ】
20.97 18,955 6,297 4,764 173
連絡先
住所・連絡先 住所 群馬県太田市浜町2-35
電話 0276-47-1111
FAX 0276-47-1886
URL http://www.city.ota.gunma.jp/
E-mail 005800@mx.city.ota.gunma.jp (合併協議会)
全般的な内容
合併の契機
 平成12年4月に施行された地方分権一括法の目指す、地域の住民や行政が主体となった、地方の自己決定と自己責任による行政システムへの変革を果たすべく、公共施設や広域的な交通体系の整備、身近な行政サービスの充実や行財政基盤の強化などにより、東毛地区における拠点都市としての発展を図ることを目標に合併を行うこととなった。
 合併の枠組み、すなわち対象となる市町村の範囲や方式は、容易に協議がまとまらず、平成12年度以降7回も変わるというめまぐるしい変遷を経た。「東毛地域合併協議会」が設置され、中核市を目指して、隣接するもう一つの東毛の拠点都市である桐生市及びその周辺の町村も含めた大きな枠組みでの合併なども模索されたが、多くの広域行政に取り組んできた太田市と新田郡尾島町、新田町、藪塚本町の1市3町による合併が、効率的な行政運営、類似施設の重複投資の回避、議員・職員数の見直しなど一体的・計画的な行政運営が推進できるという結論に達した。東毛地域合併協議会は存続しているが事務事業は休止しており、太田市を中心とした新市と桐生市を中心とした新市がそれぞれ合併により誕生し、その後両市で中核市を目指すこととなった。
 平成15年12月15日に市町議会での議決を経て、同25日にまず太田市・尾島町・新田町合併協議会設立総会が開催された。その後平成16年2月13日に藪塚本町を含む1市3町による合併協議会となり、6月1日に合併協定書の調印がなされた。市町議会の廃置分合の議決、県知事への申請、県議会の廃置分合の議決、知事決定、総務大臣への届出、総務大臣告示を経て、平成17年3月28日に新太田市が誕生することとなった。
公共料金決定の経緯
 公共料金決定の経緯については、行政コストの低減や適正な受益者負担を実現し、行財政基盤の強化を図るべく、新市誕生にあわせて調整が図られてきた結果、合併協定書において、「施設等の利用料は原則として現行のまま新市に引き継ぎ、新市の速やかな一体性の確保や住民負担に考慮し、類似施設については段階的に基準を見直すことになっている。また、手数料については、可能な限り統一するものとする」と定められている。
 公共料金については、新市移行後段階的に調整ないし速やかに調整、あるいは太田市(現行)の例により調整といったものが大半である。廃置分合による新設合併のため、公共料金に関連する広域清掃組合、火葬場・式場、水道事業などを含む一部事務組合も脱退、解散、新市以降までに調整など組合ごとに異なっている。
 印鑑登録証明書交付手数料/デイサービス通所サービスについては、1市3町ともそれぞれ300円/1,080円であるため、現行料金のままとなる。また、生活援助員派遣は、尾島町のみが1時間150円で実施しており、合併後は現行地域のみで現行料金のまま存続することとなっている。
 水道事業についてみると、料金に関しては新市移行後段階的に調整となっている。現行は口径13mmで20㎥使用した場合太田市と尾島町が2,050円、新田町が2,780円、藪塚本町が2,550円(いずれも消費税別)である。料金以外については大半が太田市(現行)の例により調整する、とされている。
 下水道は、太田市以外の3町は現在未供用で平成18年度供用開始予定であり、太田市の例(消費税込み月額1,785円)により、新たな料金を設定する予定である。
 介護保険事業では、運営協議会については太田市(現行)の例により調整などとなっており、保険料年額は平成18年度から統一保険料となっている。
 給食費は、小学校については月額4,000円(年額44,000円)で、中学校については自校方式校は月額4,800円(年額52,800円)、センター方式は月額4,600円(年額50,600円)になる。
 ごみ収集については、合併までに有料化の方向で総合的に検討し、合併後速やかに実施する、とされている。
 保育事業については、公立保育所は新市に移行後当分の間現行どおりとし、段階的に調整し、保育園保護者負担金については、新市に移行後速やかに調整する、とされている。
 以上の2つの分野については、ヒアリング対象項目であるので別途詳述する。
財政状況と公共料金の関係
 合併前の1市3町とも自治体とも対住民サービスの向上を図る観点から、適正なサービス水準と料金水準のバランスを考慮して設定してきている。また、ごみ収集などは財政状況とは別に、ごみ減量という施策目標に対して、その実現のために有効な施策として公共料金を位置づけている。
 このため、公共料金の水準に多少のばらつきは見られるものの、合併後の新料金設定に際して問題となるような大きな違いは見られないと考えられる。公共料金設定の経緯でも述べたように、合併の目的を財政状況から見ると「行政コストの低減や適正な受益者負担を実現し、行財政基盤の強化を図る」であることから、この目的に即した料金設定のための調整が各分野において図られ、ごみ収集や保育料など一部については、合併後即新料金に移行する、という状況が実現できたものと言えよう。
その他
 
一般ごみ
市町村名 料金 料金の単位・その他
●合併前
 太田市・藪塚本町は指定ごみ袋を採用しており、その希望小売価格は10枚単位で80円である。ただし店によって安売りしているところもある。
 尾島町は10枚単位で800円のごみ袋を販売している。
 新田町の二段階有料制は規定量まで1枚100円、超過分は1枚170円である。年間110枚までの規定量以内では45(l)10枚で1,000円、それ以上は10枚単位で1,700円の販売である。
●合併後
 クリーンチケット方式1枚につき150円分のごみ袋が購入可能である。大45(l)の例で10枚である。
 クリーンチケットは3~4人世帯の例で、平成17年度は7枚、18年度は6枚、19年度以降は5枚が送付される。超過分については大45(l)10枚で800円となる。
 詳細は「財政状況と公共料金の関係」のところで別途後述している。
合併直後
(H17.3.28)
太田市
【オオタシ】
二段階有料制(右記)
合併直前
(H164.1)
(1) 太田市
【オオタシ】
無料
(2) 尾島町
【オジママチ】
80円
(3) 新田町
【ニッタマチ】
二段階有料制(右記)
(4) 薮塚本町
【ヤブヅカホンマチ】
無料
公共料金決定の経緯
 平成16年6月1日の合併協定書で有料化の方向が決定され、10月1日に一元化・二段階有料方式が決定された。方式はクリーンチケット方式である。その後地域への具体的な説明に入っており、180回ほどの説明会が開催されることになっている。
 新市建設計画ではごみ減量3割(対平成15年度排出実績値)が目標であり、今回の二段階有料方式・クリーンチケット方式は、その実現の手段として導入されることになっており、平成17年度、18年度、19年度以降と段階的にチケット枚数の低減が予定されている。
 実施に際しては、新市誕生の平成17年3月28日から新方式の即時導入となり、その2週間前の3月15日に新しいゴミ袋が一斉に発売される予定である。
効果の検証
 新市の一世帯当たりごみ排出量は、平成15年度実績値では約650kgとなる。3割減量は455kgとなり、平成19年度のごみ排出量の目標値として500kgを設定した。この数値に基づいて、ごみ袋ごとに重量換算を行い、料金と枚数を設定した。その値については下記に記述している。
 合併後に、この数値との対比で、目標達成度が明らかになる。
財政状況と公共料金の関係
 財政状況の観点ではなく、具体的な数値目標に基づくごみ減量の観点から徴収方式と込み袋の枚数が決定されていると考えてよい。
 料金については、現在有料化を実施している新田町と尾島町の歳入平均がごみ処理経費の25.1%と算定されており、これと同一の処理経費を太田市で採用すると、45(l)袋で約800円となることから、これに基づいて基準単価をキロ当たり8円とし、ここから重量換算して設定している。
●クリーンチケット配布枚数
1~2人世帯 3~4人世帯 5人以上世帯
H17年度 6 7 8
H18年度 5 6 7
H19年度 4 5 6

 クリーンチケット1枚が150円で、ごみ袋が大45(l)なら10枚、中30(l)なら14枚、小20(l)なら20枚購入できる。上記の規定量を超えると、すべて10枚単位で大45(l) 800円、中30(l) 560円、小20(l) 400円となる。
 大中小の3種類を用意しているのは、季節によるごみの排出量の変動に対応するためであり、これもごみ減量を目指す観点からの措置である。
今後の展望
 現在の一般ごみ収集は、尾島町、新田町が太田市への事務委託、藪塚本町は桐生の広域組合に属しているため桐生市への委託となっているが、合併後は藪塚本町分については、施設の建設費負担もしていることから、当面桐生広域組合への委託となる。
 現在の太田市は、一般ごみの収集自体は無料であり、ごみ袋の購入に上限がないため、散らかったごみステーションの片づけなどは、自発的に気が付いた人が善意で袋にまとめているような状況である。合併後は規定枚数付きのチケット制となるため、こうした善意の行動が負担になることから、ボランティア袋の導入などを検討する必要がある。
 一般ごみ収集については、各市町の規則で定めて、これを新市に引き継ぐ形となっている。合併後は条例制定を予定している。ごみ袋販売の指定店については要綱で定めている。
その他
 参考までに、不燃ごみについては、現在袋代の徴収のみだが、合併後は有料化の方向である。
 藪塚本町については、合併後は一般ごみと異なり、桐生広域から離脱し、全体として新市として実施する。
 分別のしかたは現行の1市3町でばらばらであるのを統一する方向であり、収集形態も直営と委託と双方あるが、徐々に統一する方向である。太田市の委託事業については、事業者の組合組織があり、新市としても組合ができることが望ましい。
保育所保育料
市町村名 料金 料金の単位・その他
経過措置後 太田市
【オオタシ】
一部経過措置後2年
(尾島町、薮塚本町)
単位:国基準に対する比率(%)
●保育料階層
太田市 24階層
尾島町 10階層
新田町 7階層
藪塚本町 7階層
合併後(案) 23階層

●実際の保育料(保護者負担金)
最も高い太田市で18,422円/月(平成15年度児童数のべ38,031人)、最も低い尾島町で13,230円/月(同5,040人)となっていて、月額で約5,000円の差がある。
合併直後
(H17.3.28)
太田市
【オオタシ】
65.9
合併直前
(H164.1)
(1) 太田市
【オオタシ】
66.0
(2) 尾島町
【オジママチ】
61.1
(3) 新田町
【ニッタマチ】
65.2
(4) 薮塚本町
【ヤブヅカホンマチ】
64.0
公共料金決定の経緯
 合併が平成17年3月28日であり、同4月の新年度から一部移行措置を含む形で新料金に移行する。
 従来は太田市が条例で決定、3町は規則で決定してきたが、条例方式の場合決定に議会を経る必要があるなど、料金設定に際して柔軟な対応がしにくいため、合併後は規則で定めることになっている。
効果の検証
 合併後の23階層は現段階では案であるが、今後の情勢の変化により変動があり得る。効果の検証を行う場合は、その実施結果に基づき合併前後での行財政に対する影響を比較して行うことになる。
財政状況と公共料金の関係
 新市の保育料決定に際しては、二つの重要なポイントがある。一つは保育所徴収金基準額表の第一階層、第二階層のいわゆる低所得者層に手厚く、合併による保護者負担増はしないということと、もう一つは所得に応じた保育料を設定する、ということである。
 現行の保育料の最高の太田市と最低の尾島町で、階層別比率を見ると、第1階層が太田市0.06%、尾島町0.1%、第2階層が太田市13.5%、尾島町9.4%であり、第3階層以上の構成比は、両市町でほとんど差がないのが現状である(最も所得水準の高い第7階層で太田市5.4%、尾島町1.0%とやや違いが目立つ程度)。このことが、太田市の料金水準で合併後即時統合という決定に結びついた。単純な保育料月額の比較のみではこういう結論には達しなかったと考えられる。
 また、公立と民間の保育園の数を見ると、公立は太田市と新田町で各1あるのみで、残りは民間で39(うち、太田市26、現在建設中のものを含む)となっており、1市3町で民間が大半という均一な状況も、料金決定に有利に働いたと考えられる。太田市立の保育園と地域内の同規模の民間の保育園を比較すると、人件費で公立の方が1.5倍となっている。ただし諸経費は民間の方が高いようである。行政コスト全体で考えた場合でも、こうした官民の比率が適性であると考えられる。
 なお、隣接の桐生市の場合、公立の保育園が多く、行政負担が大きい。東毛合併協議会での合併による中核市を目指した場合は円滑な料金決定はできなかったであろう。
今後の展望
 合併後の新市では、2つとなる公立保育園を1つに削減する可能性もあるが、現在でも大半が民間であり、尾島町と藪塚本町では既に町内の全保育園が民間であることから、このことによる保育料や市財政への影響はそれほど大きくはないと考えられる。
 英語教育特区などユニークな施策を実施している太田市が、合併後の新市においても、少子高齢化の中で、明日を担う子供たちの育成のために、どのような保育施策が展開できるかが焦点であろう。
その他

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